18. 介護老人保健施設(老健)

 どのような施設か

介護老人保健施設は病状が安定し、病院から退院した方などが、在宅生活に復帰できるよう、医師による医学的管理の下、理学療法士や作業療法士などによるリハビリを重点的に行い、看護や介護、日常生活の世話もする施設です。

①3か月間の退所者数と退所後の行き先等、平均的な入所日数
在宅復帰の状況を「3か月間の退所者数」、「自宅等に戻った人の割合」、「平均的な入所日数」からみると、2つの施設の差は顕著です。
  • 現在の「入所者数」に対する「3か月間に自宅等に戻った人数」の割合はA施設23.3%(24/103人)に対し、B施設は1.3%(2/152人)にすぎません。
  • A、B施設とも退所後、介護保険施設(介護老人福祉施設等)、医療機関に入所した人がいます。
  • 介護老人福祉施設に入所できるまで、老人保健施設で待機している人がいますし、リハビリ等により在宅生活に戻れる状態になっても、介護する家族の高齢化などにより在宅復帰が叶わぬ人がいます。その結果、老人保健施設で看取られ最期を迎える方やショートステイなどを利用しながら複数の老人保健施設等に移ることになる方もいます。
  • 「平均的な入所日数」にも大きな差がみられ、A施設は79.3日ですが、B施設は288日となっています。
②療養室-個室か相部屋か、トイレや浴室も確認
  • 介護老人保健施設には、相部屋だけ、あるいは個室もある「従来型」の施設と、「ユニット型」の施設があります。
  • A、B施設ともに、従来型の施設です。
    療養室は個室か、何人部屋か、広さ、トイレ、浴室等も公表されていますので確認できます。
  • ユニット型介護老人保健施設は、施設の全部が少数の療養室と、その療養室に近接して設けられている共同生活室ごとに入所者の日常生活が営めるようになっています。
③入所制限、介護サービスの内容
  • A施設は、伝染性疾患を有する場合は入所を制限しています。B施設は入所の制限はありません。
  • A施設は、レクリエーションを1週間に7回実施していますが、B施設は実施していません。

 費用は、どのぐらいかかるのか

④介護給付以外の費用-食費、居住費、特別な療養室費、理美容代等
  • 食費(1日):A施設1,650円、B施設1,550円。
  • 居住費(1日):A施設は個室、多床室に関わらず320円。差額ベッド代はありません。
    B施設は個室1,640円、多床室400円。
  • 入所者が選ぶ特別な療養室の費用:A施設は特別療養室がありません。B施設2,000円。
  • 日常生活費や理美容代も利用者の自己負担です。A施設は、1日180円です。B施設は日常生活費の負担はありません。
介護老人保健施設と利用者間で金銭をめぐりトラブルになることがあります。公表情報を確認したうえで契約前に文書で確認しましょう。
A介護老人保健施設 B介護老人保健施設
事業の開始年月日 年 月 日 年 月 日
入所者数(定員) 103人(100人) 152人(150人)
3か月間の退所者数
(退所後の行き先等別)(①)
自宅等24人、介護保険施設4人
特別養護老人ホーム以外の社会
福祉施設2人、医療機関13人
自宅等2人、介護保険施設4人
医療機関26人、死亡4人
自宅等に戻った人
A:24人 B:2人
3か月間の退所者数
(退所後の行き先等別)(①)
自宅等24人、介護保険施設4人
特別養護老人ホーム以外の社会
福祉施設2人、医療機関13人
自宅等2人、介護保険施設4人
医療機関26人、死亡4人
自宅等に戻った人
A:24人 B:2人
平均的入所日数(①) 79.3日 288日
入所日数
A、Bに大きな差
平均的入所日数(①) 79.3日 288日
入所日数
A、Bに大きな差
療養室の状況(②) 個室 2人部屋 4人部屋 個室 4人室
室数 12 2 20 6 36
面積 14.9㎡ 23.1㎡ 35.2㎡ 18㎡ 36㎡
入所制限(③) 伝染性疾患を有する場合 なし
介護サービスの内容(③) レクリエーション7回/週 レクリエーションなし
レクリエーション
A:7回/週 B:なし
介護サービスの内容(③) レクリエーション7回/週 レクリエーションなし
レクリエーション
A:7回/週 B:なし
介護給付以外のサービスの費用(理美容代等略)(④) 食費:1,650円/日
居住費:320円/日
※差額ベッド代なし
日常生活品費:180円/日
食費:1,550円/日
居住費:個室1,640円/日
     多床室400円/日
特別療養室費用:2,000円/日
日常生活品費:なし

※事業所を比較するには「このホームページの使い方(5章 事業所を比較したい)」をご参照ください。

このほかに公表されていること

  • 利用者の希望に基づく「特別な食事の費用」:A、B施設とも、徴収は「なし」とあります。
  • 「協力病院名」「協力歯科医療機関名」「協力内容」:A施設の協力病院は「急変・救急時の24時間受け入れ」、協力歯科医療機関は「利用者の歯科往診」とあります。B施設の協力病院と協力歯科医療機関は「病状の急変等の対応」とあります。
  • 「介護サービスの内容等」では、「短期集中リハビリテーションの実施(介護報酬の加算)の有無」、「認知症ケアの実施(介護報酬の加算)の有無」、「退所後訪問指導の実施(介護報酬の加算)の有無」、「在宅復帰支援機能(介護報酬の加算)の有無」等が公表されています。これらサービスを受けるには、別途定められた金額が加算されますので、施設に確認しましょう。

 介護等を担うのは、どのような人か

⑤看護職員、介護職員1人当たりの入所者数-手厚い介護は期待できるか
看護・介護職員1人が担当している入所者数は、A施設1.86人、B施設2.7人であり、A施設のほうがB施設より手厚い介護を期待できます。
看護と介護職員の総数は、常勤換算方法で入所者3人に1人以上の配置が必要です。入所者数が異なる場合(A施設103人、B施設152人)は、看護、介護職員1人が担当する入所者数を比べるとよいでしょう。
⑥介護職員数 ⑦介護職員の前年度退職者数-施設によって差がある
  • 常勤者数とその割合:A施設43人中32人(74.4%)、B施設45人中29人(64.4%)。
  • 常勤職員の退職者数とその割合:A施設32人中1人(3.1%)、B施設29人中8人(27.6%)。
  • 非常勤職員の退職者数とその割合:A施設11人中3人(27.3%)、B施設16人中14人(87.5%)。
⑧介護職員の資格
  • 常勤職員の介護福祉士数とその割合:A施設32人中24人(75.0%)に対し、B施設29人中11人(37.9%)です。
  • 介護支援専門員:A施設には1人います。B施設はゼロです。
⑨介護業務に従事した介護職員の経験年数
介護業務に従事した経験年数が10年以上の介護職員数(常勤と非常勤の計)をみると、A施設は43人中9人(20.9%)ですが、B施設は45人中5人(11.1%)です。
⑩夜間看護・介護職員数、看護職員数、その他の有資格者
  • 夜間の看護・介護職員数は、A施設は5人ですから、夜間は1人の職員が20.6人の入所者を担当し、4人のB施設は、1人の職員が38人を担当していることになります。
  • A、B施設ともに、看護職員、医師、リハビリテーション職の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士と管理栄養士がいます。
※⑤~⑩をみると、介護サービスの質がうかがえます。

 利用者の意見の把握、第三者評価等の実施状況

⑪利用者の意見等を把握する取組み ⑫第三者評価等の実施状況
  • A、B施設ともに、利用者の意見等を把握する取組みがあり、結果を開示しています。
  • 第三者評価をA施設は受けていますが、結果は開示していません。B施設は受けていません。

 従業者の資質向上に向けた研修等の実施状況、介護キャリア段位制度の取組み

⑬従業者の資質向上に向けた研修等の実施状況
A施設は従業者の資質向上に向けた研修等を実施し公表していますが、B施設は記載がありません。
⑭介護キャリア段位制度の取組み
A施設は、介護キャリア段位制度に取り組んでいます。
B施設は、取り組んでいません。
A介護老人保健施設 B介護老人保健施設
看護・介護職員1人当たり入所者数(⑤) 1.86人 2.7人
入所者/職員
A:1.86人 B:2.7人
看護・介護職員1人当たり入所者数(⑤) 1.86人 2.7人
入所者/職員
A:1.86人 B:2.7人
介護職員数
(常勤換算)(⑥)
常勤32人 非常勤11人
(39.8人)
常勤29人 非常勤16人
(35.3人)
前年度退職者数(⑦) 常勤1人 非常勤3人 常勤8人 非常勤14人
退職者・常勤
A:1/32人 B:8/29人
退職者・非常勤
A:3/11人 B:14/16人
前年度退職者数(⑦) 常勤1人 非常勤3人 常勤8人 非常勤14人
退職者・常勤
A:1/32人 B:8/29人
退職者・非常勤
A:3/11人 B:14/16人
介護職員が有する資格(延べ人数)(⑧) 常勤 非常勤 常勤 非常勤
介護福祉士 24人 3人 11人 1人
介護福祉士・常勤
A:24/32人 B:11/29人
介護福祉士 24人 3人 11人 1人
介護福祉士・常勤
A:24/32人 B:11/29人
実務者研修 2人 0人 0人 0人
介護職員初任者研修 4人 6人 5人 0人
介護支援専門員 1人 0人 0人 0人
介護業務に従事した経験年数(⑨) 常勤 非常勤 常勤 非常勤
1年未満 8人 0人 6人 6人
1~3年未満 4人 2人 5人 3人
3~5年未満 5人 4人 5人 2人
5~10年未満 7人 4人 8人 5人
10年以上 8人 1人 5人 0人
経験年数10年以上
A:9/43人 B:5/45人
10年以上 8人 1人 5人 0人
経験年数10年以上
A:9/43人 B:5/45人
夜間看護・介護職員数(最少時)(⑩) 5人 4人
看護職員数
(常勤換算)(⑩)
常勤8人 非常勤6人
(10.9人)
常勤15人 非常勤3人
(15.9人)
その他職員数(薬剤師、支援相談員等、調理員略)(⑩) 医師(常勤)1人
理学療法士(常・非)4人
作業療法士(常・非)4人
言語聴覚士(常勤)1人
管理栄養士(常勤)2人
医師(常・非)4人
理学療法士(常勤)3人
作業療法士(常勤)3人
言語聴覚士(常勤)1人
管理栄養士(常勤)1人
リハビリ職の人数を確認
その他職員数(薬剤師、支援相談員等、調理員略)(⑩) 医師(常勤)1人
理学療法士(常・非)4人
作業療法士(常・非)4人
言語聴覚士(常勤)1人
管理栄養士(常勤)2人
医師(常・非)4人
理学療法士(常勤)3人
作業療法士(常勤)3人
言語聴覚士(常勤)1人
管理栄養士(常勤)1人
リハビリ職の人数を確認
管理者の資格 医師 医師
利用者の意見等を把握する取組み(⑪) あり
開示あり
あり
開示あり
第三者評価等の実施状況(⑫) あり
開示なし
なし
第三者評価
A:実施 B:なし
第三者評価等の実施状況(⑫) あり
開示なし
なし
第三者評価
A:実施 B:なし
事業所で実施している従業者の資質向上に向けた研修等の実施状況(⑬) ○ 入職1年目から3年目までの基礎研修、プリセプター研修、通所基礎研修の実施
○ OJTを中心とした育成計画の実施
○ 個々のスキルや役割に合わせた外部研修への参加(略)
記載なし
介護キャリア段位制度の取組み(⑭) あり なし
介護キャリア段位
A:実施 B:なし
介護キャリア段位制度の取組み(⑭) あり なし
介護キャリア段位
A:実施 B:なし

※事業所を比較するには「このホームページの使い方(5章 事業所を比較したい)」をご参照ください。



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