23. 福祉用具貸与
● どのような事業所か
- ①福祉用具貸与の種目の費用・利用者数・種類
-
例えば、車いすをみるとA、Bの事業所の費用(1か月当たりの利用者負担額)と種類の差は顕著です。
〈費用〉A事業所は400~ 6,000円であるのに対し、B事業所は300~3,000円です。
最低額は100円差ですが、B事業所の最高額はA事業所の半額です。
〈種類〉A事業所は143種類の車いすがありますが、B事業所はA事業所の約半数(76種類)です。 -
※2018年度介護報酬改定において、利用者が適切な福祉用具を選択する観点から、福祉用具専門相談員に対して、以下の事項などが義務づけられました。
・貸与しようとする商品の特徴や貸与価格に加え、当該商品の全国平均貸与価格を利用者に説明すること(全国平均貸与価格は2018年10月から公表)
・機能や価格帯の異なる複数の商品を利用者に提示すること
- ②福祉用具専門相談員1人当たり1か月の利用者数
- 「利用者数」と「福祉用具専門相談員1人当たり1か月の利用者数」に大差(A事業所:86人、B事業所:38人)があるのは、A事業所は福祉用具の専門事業者であり広範囲の地域において貸与事業を展開しているのに対し、B事業所は主に訪問介護を行う事業所であることが理由と思われます。
- ③介護給付以外のサービスの費用
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通常の事業の実施地域以外の場合は交通費を、搬入に特別な措置が必要な場合はその費用を請求する事業所があります。交通費の計算根拠を公表している事業所もあります。
トラブルを避けるために見積書を取り費用を確認しましょう。
● 相談は、どのような体制で受けているのか
- ④福祉用具専門相談員数、福祉用具専門相談員の前年度退職者数
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福祉用具専門相談員は、A、B事業所とも全員常勤です。
A事業所は18人おり、退職者はゼロ。
B事業所は2人おり、退職者は1人。
- ⑤福祉用具相談業務に従事した相談員の経験年数
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A事業所の福祉用具専門相談員の過半数は、10年以上の経験者です(11/18人)。
B事業所は、2人とも5年未満です。
- ⑥福祉用具専門相談員が有する資格
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福祉用具専門相談員指定講習修了者は、A事業所18人全員、B事業所1人です。
B事業所には介護福祉士が1人います。A福祉用具貸与事業所 B福祉用具貸与事業所 事業の開始年月日 年 月 日 年 月 日 福祉用具貸与の種目(①) 費用/月 利用
者数種類 費用/月 利用
者数種類 福祉用具貸与の種目(①) 費用/月 利用
者数種類 費用/月 利用
者数種類 費用だけでなく種類の相違もみる車いす 400~
6,000円478人 143 300~
3,000円46人 76 費用だけでなく種類の相違もみる特殊寝台 800~
3,200円633人 75 500~
1,600円51人 49 床ずれ防止用具 400~
2,000円207人 75 500~
2,000円10人 33 体位変換器 150~
800円3人 9 100~
900円1人 6 手すり 200~
1,150円1,140人 112 150~
650円9人 26 スロープ 50~
900円463人 41 400~
1,200円0人 13 歩行器 300~
600円476人 82 250~
500円2人 23 歩行補助つえ 150~
150円158人 19 100~
100円0人 14 徘徊感知機器 400~
1,200円10人 11 900~
950円1人 2 移動用リフト 800~
6,000円0人 2 1,500~
4,200円0人 14 自動排泄処理装置 800~
800円0人 2 なし 福祉用具専門相談員1人当たり
1か月利用者数(②)86人 38人 介護給付以外のサービスの
費用(③)クレーン等を使用する場合実費、通常の作業に比べ大幅に時間を要する場合は協議の上費用を決定(略) 自動車を使用した場合は事業所から片道10㎞を超えた場合にのみ300円(略) 福祉用具専門相談員数
(④)常勤 (常勤換算) 常勤 (常勤換算) 18人 18人 2人 2人 前年度退職者数(④) 0人 1人 業務に従事した年数(⑤) 常勤 非常勤 常勤 非常勤 1年未満 0人 0人 1人 0人 1~3年未満 2人 0人 0人 0人 3~5年未満 3人 0人 1人 0人 5~10年未満 2人 0人 0人 0人 10年以上 11人 0人 0人 0人 Aは過半数が10年以上10年以上 11人 0人 0人 0人 Aは過半数が10年以上常勤福祉用具専門相談員が有する資格(⑥) 福祉用具専門
相談員指定講習18人介護福祉士1人、
福祉用具専門相談員指定講習1人※事業所を比較するには「このホームページの使い方(5章 事業所を比較したい)」をご参照ください。
● 営業時間、キャンセル料、利用者の意見の把握、第三者評価等の実施状況
- ⑦営業時間
- A事業所は365日営業していますが、B事業所は平日のみ営業しています。営業時間は同じです。
- ⑧利用者の都合で提供できなかった場合の費用の徴収
-
利用者の都合でキャンセルする場合の費用徴収はトラブル原因の1つです。
両事業所とも、「なし」ですが、徴収する事業所もあります。
- ⑨利用者の意見等を把握する取組み
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A事業所は、取り組んでおり、結果を開示しています。
B事業所は、取り組んでいません。
- ⑩第三者評価等の実施状況
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A事業所は、第三者評価を受け、結果を開示しています。
B事業所は、第三者評価を受けていません。
● 運営情報から貸与事業の内容を確認
消費者相談から次のような福祉用具貸与事業所の問題点が明らかとなっています。
- 福祉用具を選ぶ前に、福祉用具専門相談員が利用者と話し合いをしていない。
- 相談をしても、福祉用具専門相談員が納得のいくように説明をしていない。
- 搬入した後、福祉用具専門相談員が使用状況を確認していない。
- 安全性や使い勝手の面から使用状況を確認していない。
これらに関する福祉用具貸与事業所の事業内容は、運営情報に掲載されています。
- ⑪用具の選定前に利用者と面談しているか
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(運営情報「1.利用者の権利擁護のための取組」-「(2)利用者等の情報の把握及び課題分析の実施状況」)
「福祉用具の選定を行う前に、利用者等と面談した記録」の有無を確認しましょう。
A、B事業所ともに記録があります
適切な福祉用具を選ぶためには、事業者は利用者と話し合うことが不可欠です。
- ⑫相談、苦情対応の結果を利用者に説明しているか
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(運営情報「3.相談、苦情等の対応のために講じている措置」-「(11)相談、苦情等の対応のための取組」)
相談、苦情等対応の結果について「相談、苦情対応等の結果について、利用者等に対する説明の記録」の有無を確認しましょう。
A事業所には記録がありますが、B事業所にはありません。A福祉用具貸与事業所 B福祉用具貸与事業所 営業時間(⑦) 365日
9時~18時平日
9時~18時利用者の都合で介護を提供できなかった場合の費用の徴収(⑧) なし なし 利用者の意見等を把握する取組み(⑨) あり
開示ありなし 意見把握
A:実施
B:なし利用者の意見等を把握する取組み(⑨) あり
開示ありなし 意見把握
A:実施 B:なし第三者評価等の実施状況(⑩) あり
開示ありなし 第三者評価
A:実施
B:なし第三者評価等の実施状況(⑩) あり
開示ありなし 第三者評価
A:実施 B:なし※用具選定前の面談(⑪) あり あり ※相談、苦情対応結果(⑫) あり なし ※10日以内の確認作業(⑬) あり あり ※6か月に1回以上訪問(⑭) あり あり ※:運営情報項目
※事業所を比較するには「このホームページの使い方(5章 事業所を比較したい)」をご参照ください。
- ⑬搬入日から10日以内に、使用状況を確認しているか
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(運営情報「4.サービスの内容の評価や改善等」-「(12)福祉用具の使用状況確認」)
「福祉用具の搬入日から10日以内に、電話又は利用者の居宅を訪問して、福祉用具の使用状況を確認した記録」の有無をみると、A、B事業所ともに記録があります。
ただし、電話で利用者に尋ねるだけでは、利用者が不適切な使い方や危険な使い方をしていてもわかりません。契約前に、「搬入日から10日以内に訪問して確認してくれるか」事業所に尋ねるとよいでしょう。
- ⑭6か月に1回以上訪問し、使用状況を把握しているか
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(運営情報「4.サービスの内容の評価や改善等」-「(13)福祉用具の調整、交換の取組の状況」)
「6か月に1回以上、福祉用具の使用状況の把握、メンテナンス、調整、交換等を行った記録」の有無をみると、A、B事業所とも記録があります。契約前に、どれくらいの頻度で使用状況の把握やメンテナンス等を受けることができるのか、事業所に尋ねてみましょう。
以上のほかに、「介護支援専門員(ケアマネジャー)等と6か月に1回以上相談している記録」の有無を確認する項目があります。
(運営情報「1.利用者の権利擁護のための取組」-「(4)利用者の状態に応じた福祉用具の選定状況」)
A、B事業所ともに記録があります。